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植村文庫 UEMURABUNKO
毎月のことば


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2008年12月のことば
先月に引き続き、社交について考えてみましょう。社交の場が意味を持つのは、そこに参加する人々が、そこで存在を認められ、尊重される場合だと思います。そしてまた、そこに参加する他の人々 の存在を認め、評価する場合だと思います。自分は尊重されたいし、他の人は評価したい、というのは、...


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2008年11月のことば
今年になってから、身内の付き添いで頻繁に病院に行きます。診察を待つ間、ロビーなど眺めていますと、行き交う人がとても多く、特に高齢者の姿が目立ちます。そして病院は、社交の場になりうるのではないか と考えるようになりました。...


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2008年10月のことば
先日、梅田望夫さんの『ウェブ時代をゆく』を読みました。時代の流れがよく見えて、読みやすい本ですが、これは実際に行動して理解すべきもので、頭で理解しただけでは十分にはわかっていないだろうと自覚しています。ところで、このような「ウェブ時代」は、本当に慌しいものだと思います。もち...


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2008年9月のことば
八月には、下鴨神社で古本市がありました。 森の中にたくさんの古書店屋台が出て、一回りするだけでも十分にくたびれます。蚊が来たり、夕立があったり、お客もお店も大変です。それでも毎年、たくさんの人で賑わって、京都の夏の風物詩になっています。三冊五百円の棚、百円均一の棚、雑誌が山...


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2008年8月のことば
暑い暑い夏は、もうとっくに京都に到着しています。夏は蒸し暑いものだと信じて育ったのですが、どうも京都の夏は、特別に過ごしにくい気候のようです。そう言えば、別の場所で夏を過ごすと、どこに行っても快適な気持ちになれたことを思い出します。...


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2008年7月のことば
雨が強く降ると、ついつい賀茂川が気になります。普段のゆったりとした流れも、雨の後には騒々しく、今にも暴れだしそうな勢いです。この暴れだしそうな勢いこそは、日本の川の真骨頂で、それを押さえ込むための治水の歴史が、日本史の重要な線となって現在まで続いています。 ...


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2008年6月のことば
今年は早くも梅雨となり、降り重なるように雨が落ちてきます。京都の山も緑濃く、木々の葉の色も強さを示しています。しかし一体、森というものは何なのでしょうか。特にこの季節の森は、山で見ても町で見ても、もこもこと盛り上がり、生命力を実感させられます。そしてこの感覚が、日本の思想に...


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2008年5月のことば
日本には東洋文明と西洋文明の両方があり、それが日本文明の特徴とよく指摘されます。そして実際、世界中のものを内に取り込んで、それらを見事に発展させていくのは、日本文明の長所と言えるでしょう。その長所は何に由来するのか、とても関心があります。...


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2008年4月のことば
ドイツの話の続きです。ミュンヘンでの一晩、チャイコフスキーのオペラを見に行きました。「エフゲニー・オネーギン」です。バイエルン国立歌劇場で夜七時開 演、盛装した常連さんたちに混じっての観劇です。日本でもそうですが、しっかりした常連さんたちがいると、その場所と一体の独特の雰囲...


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2008年3月のことば
ドイツに行ってきました。ベルリンとミュン ヘンです。この二つの都市を訪ねて感じ入りましたのは、どちらも20世紀の歴史を堂々と示していることです。例えばベルリンでは、旧東ドイツ強制収容所記念館、壁博物館、DDR博物館、シュタージ(旧東ドイツ秘密警察)博物館、難民一時収容所記念...


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2008年2月のことば
寒くて手が痛いようなとき、思い出すのはエストニアの二月です。エストニアはバルト三国の一つ、東はロシア、北は海を隔ててフィンランドです。そのエストニアの真冬に出かけていきましたのは十年ほど前。海は氷結し、観光客はおらず、厳重な防寒着のよく似合う季節でした。独立を回復して解放さ...


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2008年1月のことば
新年明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。 昨年は会社ができたり本を出したり、いろいろと動きのある一年でした。今年は、それぞれの可能性を広げていく一年にしたいと願っています。それにしましても、動きやすい世の中になりました。昔であれば会社を作るのは...


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2007年12月のことば
「名づけ」について考えてみます。「名は体をあらわす」と言いますように、名前はとても大切なもの、大切にしたいものです。もちろん、何かがあるから名をつけるわけですが、しかし逆に、名をつけることによって、何かが生まれるようにも感じます。名をつけると、新しい世界への入口が切り開かれ...


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2007年11月のことば
朝夕の冷え込みを感じる季節になってきました。この季節になりますと、十年ほど前に暮らしていたベルリンを思い出します。あの頃は、まだドイツ統一から日も浅く、旧東ベルリン地区に住んでいましたので、ときどき、旧体制の絶望的な冷たさを肌身に感じる気がしました。殺風景な町並み、銃弾の痕...


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2007年10月のことば
先日、龍笛の演奏を聴く機会がありました。龍笛は、雅楽の演奏に用いられる横笛です。そして雅楽は、古代以来の神聖な音楽で、よく神社の境内に響いていま す。さて、古代の東アジアにおいては、それぞれの人間集団にそれぞれの雅楽があり、それはつまり、独特の音楽を持つ人たちを、独立した人...


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2007年9月のことば
この夏は、昔の京都の哲学者たちの本を読んで過ぎました。東洋とか仏教という言葉が活きているのが、何だか別世界からの声のように響いてきて、落ち着きの悪 さを感じてしまいました。もちろん、今も東洋的なものはありますし、京都に暮らしているだけに、至る所に仏教的なものもあります。しか...


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2007年8月のことば
オリジナリティーとは、何でしょうか?たしか作家の星新一さんが、それは「異質なものの組み合わせ」であると、言っておられたように思います。人類史上、完全に新しいものを発明するのは至難の技ですが、これまであったものを新しく組み合わせることは、まだしも可能です。例えば、「でどべぎゃ...


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2007年7月のことば
今月16日まで、岡崎公園にある京都国立近代美術館で、「舞台芸術の世界――ディアギレフのロシアバレエと舞台デザイン」展が開かれています。先日、植村照がこの展示を見に行きましたので、以下にその感想を引用します。 「ディアギレフは、バレエという形式によって、舞踏と音楽と美術を立...


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2007年6月のことば
西田さんの本を、今も読んでいます。西田さんは昔の京大の哲学の先生で、昭和の戦前期には、「京都学派」と呼 ばれるお弟子さんたちを育てられました。高坂正顕、高山岩男、鈴木成高、三木清、田辺元など、とても水準の高いお弟子さんたちです。ただし、「京都学派」...


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2007年5月のことば
現在、西田幾多郎という昔の哲学者が書いた本を読んでいます。とても人間味のある、面白い哲学者なのですが、 難しくて読みにくいと文章の評判は良くありません。たしかに、専門家でさえも音を上げるような、漢字と飛躍だらけの文章になっています。でも、西田さんの気持ちになって読むと、すら...
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