長かった梅雨もようやく終り、一転して、夏らしい空がやって来ました。海や山の季節到来です。ところで、山歩きをしてきて思いますのは、日本の山は 本当 に、宗教遺蹟が多い、ということです。山は巡礼の場所であり、修行の場所であり、祖霊の鎮まり神々の降臨する聖地でした。そしてその山は、はるかに海を見 渡せるものが多く、あるいは、海へと通じる山々の道を見通せるものが多くあります。
もちろん海からも、聳え立つ山の頂きが見えますし、山々の力強い連なりが望まれます。そして、海の彼方の異界と山の頂上の異界とが、互いに通じ合って織 り成してきた、この海山の関係こそが、独特の宗教世界を日本列島に作り出してきたものなのでしょう。
これは、民俗学者の柳田國男や折口信夫の追い求めた主題ですが、本当に、いわゆる日本的なるもののほとんどは、この独特の宗教世界が表面化したものだろうと思います。海と山の季節を感じるのは、「海やまのあひだ」に暮らす島人らしい感覚ということでしょうか。我が家も今年は、海と山に行く予定です。