昨年の今頃は、スロヴェニアという国にいました。人口は200万人で、首都のリュブリアナは30万人弱。ユーゴスラヴィアから独立して十数年です が、すで にEU加盟も実現させたヨーロッパの小国です。トリグラフ山という美しい山の裾野に、豊かな田園風景が広がり、心落ち着く雰囲気を醸し出しています。
ここもかつては、ハプスブルク帝国の領内で、そのためついつい、芸術的な空気が濃厚なように思えてしまいます。わずかの滞在でしたので、実際はわかりま せんが、ハプスブルク帝国の連想は、それほど強烈です。もちろん、帝国の実際は牧歌的ではなく、文化を無条件に保護したわけでもないのですが、ただ何となく、そのように思えてしまいます。
ウィーンを中心に、ハンガリーのブダペシュト、チェコのプラハ、スロヴァキアのブラチスラバ、スロベニアのリュブリアナ、クロアチアのザグレブなど、南東ヨーロッパの国々の首都の多くは、ハプスブルク時代の遺産を継承しています。まだよくわからないのですが、たしかにこれらの町々には、独特で共通の文化的雰囲気があるように、思えてならないのです。