先日、龍笛の演奏を聴く機会がありました。龍笛は、雅楽の演奏に用いられる横笛です。そして雅楽は、古代以来の神聖な音楽で、よく神社の境内に響いていま す。さて、古代の東アジアにおいては、それぞれの人間集団にそれぞれの雅楽があり、それはつまり、独特の音楽を持つ人たちを、独立した人間集団と呼びえ た、ということだと思います。ヨーロッパも同じです。時代が下りまして、そのような人間集団が「民族」と呼ばれたり、もっと大きな「民族」に吸収されたり、どこかに消えてしまったりして今日に至っています。それとともに、さまざまな音楽が発展し、吸収され、消えていったことでしょう。ちなみに、ヨーロッパのクラシック音楽は、その発展的な一例だと思います。
いずれにしましても、雅楽は無形の世界遺産でしょう。そして、韓国や中国の雅楽が残っていれば、とても素晴らしいのですが、どこかに残されていないのでしょうか。なお、中国の本来の雅楽、すなわち、漢民族の神聖な音楽である儒教音楽は、日本で言われる雅楽とは違うもののようです。何だかおもしろそうで、 こういうことを考え始めると止まらなくなってしまいます。