「名づけ」について考えてみます。「名は体をあらわす」と言いますように、名前はとても大切なもの、大切にしたいものです。もちろん、何かがあるから名をつけるわけですが、しかし逆に、名をつけることによって、何かが生まれるようにも感じます。名をつけると、新しい世界への入口が切り開かれ、そこから、まだ見えぬものの姿をのぞき込めるような気がすることはありませんか。
最近では、新しく出す本の名前をどうするか、いろいろと考えました。本の内容に合った名前を考えるのですが、その名前が、本の内容から新しい可能性を切り 開くようにも思います。名前というのは、入口のような出口のような不思議な境界線で、ちょうどドラえもんの秘密道具の「どこでもドア」みたいなものでしょうか。名前はどこかへの入口であり、どこかへの出口であり、世界の生み出したものであり、世界を作り出すものでしょう。詩はまさに、やや長めの名づけですし、このような言葉そのものも、一つ一つが名づけなのだと、使うたびごとに実感しています。