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2008年4月のことば

  • 執筆者の写真: uemurabunko
    uemurabunko
  • 2月16日
  • 読了時間: 1分

ドイツの話の続きです。ミュンヘンでの一晩、チャイコフスキーのオペラを見に行きました。「エフゲニー・オネーギン」です。バイエルン国立歌劇場で夜七時開 演、盛装した常連さんたちに混じっての観劇です。日本でもそうですが、しっかりした常連さんたちがいると、その場所と一体の独特の雰囲気がかもし出され、 自分には場違いな楽しさを感じさせてもらえます。京都には京都人が必要であると自得して、京都に帰って来ました。

 ところで舞台ですが、昔のロシアのオペラを待っていて、出てきたのは安っぽいアメリカの雰囲気。ビリヤード台に、はすっぱな服。本当に、目が点になりました。しかも、ぞろぞろと五十人ほどの人が現われ、話はざわざわと進みます。正直、どうなることかと思いましたが、段々に、安っぽい雰囲気が登場人物を際立たせ、人数が重みを持ち、ドラマに粘り強い 筋道が現れてきました。もうそうなれば、ロシアでもアメリカでもどうでもよく、文字通りの人間ドラマを見る気がしてきます。どんな場所からも人間の深層を見せるのは、チャイコフスキーの底力。そこを的確に把握して応用したのは、演出家の実力。それが上演されているのは、とても具体的で独特な場所。三層の重なりを充分に見れて、十時を過ぎて舞台ははねました。

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