日本には東洋文明と西洋文明の両方があり、それが日本文明の特徴とよく指摘されます。そして実際、世界中のものを内に取り込んで、それらを見事に発展させていくのは、日本文明の長所と言えるでしょう。その長所は何に由来するのか、とても関心があります。
見知らぬものに関心を示すのは好奇心。それを理解するのは連想能力。それを上手に使いこなすのは、自己以外のものに乗り移る能力のような気がします。そして、これらが日本に顕著な理由は、おそらく、日本語の特徴や歴史的な事情から説明できるでしょう。日本語は本来、文学の言葉として発達し、連想に適し、連続性を得意としているように思います。連句が発達し、ひらがなが発達したのは、その原因でもあり結果でもあるでしょう。他方、日本という島の位置は、外から流入しやすく、外へと流出しにくいものであるように思います。平和に安住する歴史が長く、壊滅的打撃や脱出的移住もなく、落ち着いてしまう状況が、この 文明の特徴を成したように思います。
しかし言葉や歴史のみではなく、そこから思想的に、日本の特徴を論理化してみたいと願っています。感覚的にわかっていても、もう一つ踏み込んで論理化できていないもどかしさが、自分の中にあるからです。それは実家に帰って、同じ部屋に並ぶ仏壇と神棚に、夕食のご飯をお供えするとき、そのつど思い出される不思議な感覚です。