暑いような寒いような不思議な天気が続きます。 京都の山の中は、紅葉も始まっているのですが、そこを半袖半ズボンで歩いても、おかしくない天気だったりします。今は本当に、秋なんでしょうか。秋の心持は涼しげで、自然は色濃く力強く、何だか豊かになった気がします。以前この時期に、東北地方の山を一人歩いたときは、一日歩いてもほとんど誰にも会わず、どこまでも透き通った山伝いの道を、まるで自分の庭のように眺めたことを思い出します。あのぜいたく感は、何とも言えず、勝手ながら満足させてもらったという感謝です。だって木々は色づいて、道に敬意を払い、山々はきれいに整頓されて、行儀よくならんでいましたから。今でもときどきふと思い出して、秋の山を想います。冷やりとする土の感触。すっきりと直立する木々。音で気付く風の動き。透き通って輝く紅葉。そんな秋の山をです。