top of page

2009年3月のことば

先週、久しぶり に東京に行き、日本近代文学館で昔の雑誌を読んできました。閑静な住宅街の中、美しい駒場公園の中にあり、とても落ち着いた雰囲気の文学館です。読み終わって渋谷経由で品川に行き、新幹線で京都に帰りましたが、何だか東京の異質性を感じて、妙に落ち着かない心持ちになりました。どこに行っても人がたくさんいて、次々と巨大ビルが作られ、旅行者から見ると今でもバブル期のままのように思えてなりませんでした。

 二十年ほど前に東京に行ったときは、大阪との同質性を感じ、京都ともさほど違いを感じず、ただより大きいだけであると、むしろ安心したことを思い出します。 しかし今はつくづくと、現在の東京は異質な都市である、もしくは、大阪や京都は現代の大都市ではない、と感じます。それは良い悪いの評価ではなく、ただ違う、という確認です。もちろん、通りすがりの旅行者には、町の内側は見えませんので、印象論に過ぎません。しかし、東京論は日本論から独立して論じられそうな気がして、とても魅力的なテーマです。帰りの車中でコーヒーを飲みながら、いつか東京に短期留学してみたいと考えたりしました。たしかに東京は、コスモポリタンでヘレニズム的なワンダーサイトです。

 

​COPYRICHT(C)合同会社植村文庫 ALL RIGHTS RESERVED
bottom of page