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2009年6月のことば

  • 執筆者の写真: uemurabunko
    uemurabunko
  • 2月22日
  • 読了時間: 1分

六月の到来は足早に、しかし六月の経過は足踏みするように感じられます。祝日がないためなのか、気候のせいなのか、なぜなのかよくわかりません。もしかしたら雨の一日は、晴の一日よりも時間がじんわりと流れていくのかもしれません。 近年の雨は極端な降りが多く、不安を感じさせられて辟易します。しかし本来は、雨のもたらしてくれる湿り気には、感謝すべきことも多くあるでしょう。明治の旅行家・政論家の志賀重昂は、『日本風景論』の中で「日本には水蒸気の多量なる事」を強調し、日本の風景の一面を解説しています。そして大雨、大雪、台風 などが、そこに住む人間の内面にまで滲み通って、独特の文明的特徴を作り出していくとの指摘は、文明論者の和辻哲郎が『風土』において行ったものです。志賀の論は百十年以上前、和辻の論は七十年以上前のものではありますが、今読み返してみても読み応えのある論旨です。 とはいえ、気候も変わってきています。そして日本も変わってきています。今からもう一度、両者をつなぎあわせて論じなおすことができないかと、あれこれ雨を見ながら考える日々です。

 

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