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2010年10月のことば

坂田明トリオのコンサートに行ってきました。京都芸術センターの講堂で、百年前のペトロフ・ピアノも参加してのコンサートです。坂田さんの演奏を聴くのはまったくの初めてだったのですが、新しいジャズの概念を生身に示そうという意欲を感じた気がしました。そして、貝殻節という日本民謡の絶叫とジャズ演奏に接して、私は、これは神道ではないのかと、強く思ってしまいました。坂田さんの高唱が、本当に、祝詞に聞こえたのです。 

 坂田さんの力強く独創的な音楽は、何か古代的な、神への語りかけのように感じられてなりません。それは、言葉だけでなく、演奏の全体について、そう感じました。もしかしたら坂田トリオの演奏は、神社を会場にするとすごく適合するのではないか、とも思った次第です。たまたま一週間ほど前に、奈良県の大神神社にお参りし、三輪山に登拝したばかりでしたので、その感覚が私に強く残っていたためかもしれません。

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