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2010年6月のことば

善光寺に行ってきました。長野県には何度も何度も行っているのですが、長野市に行ったのは初めてです。駅に着いてお寺に行きますと、その途中の文化的な雰囲気に、本当に驚きました。さっぱりと完成された感じで、しかも盛りだくさんです。おそばに山菜、お土産にギャラリー。立ち寄りたくなるところが多くて困ってしまう経験は、それほど多くありません。そして善光寺は、要塞のような石垣の中に、宿坊を抱え、力強い雰囲気で空間を構成しています。お見事な景観と言うしかありません。 

 ただ、私が強く興味を抱きましたのは、この古代以来のお寺が天台宗と浄土宗の共同管理下に一応あることです。というのは、真言宗と浄土宗の共同管理下にある当麻寺という奈良県のお寺を訪ねたことがあったからです。こちらも古代以来のお寺で、折口信夫の歴史小説『死者の書』と深い関係があり、独特の雰囲気をかもし出しています。もちろん、それぞれのお寺の事情を詳細に調べてみないとわかりませんが、二つの宗派の共存が、何か古代にもつながりを持つためなのかどうか。最近、日本の思想史を考える機会が多く、とても気になるところなのです。

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