ドイツに行ってきました。日本はまだまだ暑いですが、北西ドイツは連日の雨で、一部地域では洪水の危険性も警告されています。気温もおおむね二十度以下で、長袖シャツに雨具を着て、それでも寒いことがありました。
ライン河周辺のこの地域は、鉄と石炭の重工業で栄えてきたのですが、今はもう様変わりせざるをえなくなっています。例えばデュッセルドルフでは、沈滞する港にメディア産業を集積し、メディア港を作り出しています。しかも、優れた建築家に新建築を競作してもらい、古い港の文化遺産と混ぜ合わせて、文化的な情報産業の中心を作っています。また、ルール地方一帯は、二〇一〇年の欧州文化首都の一つに選ばれて、重工業の遺産を活用し、そこから文化的な雰囲気を高めようと努力しています。閉山したツォルフェアアイン炭鉱は、すでに世界遺産に登録されており、観光・学習・芸術の拠点として積極的に利用されていました。すべっている感じの試みも目にはしましたが、それでもとにかく全体として変身していこうという意欲を強く感じました。その全体を構成し続けていく上手さが、ヨーロッパの強みであり、今もその粘り強さの源泉になっているように思います。