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2014年7月のことば

  • 執筆者の写真: uemurabunko
    uemurabunko
  • 3月31日
  • 読了時間: 1分

6月は、あっという間に過ぎていきました。京都ではまとまった雨が少なく、すでに真夏の日々となっていました。しかし、月末に東京に行ってみると雨また雨。夕方には激しくたたきつける雨に轟然たる雷鳴と出くわし、何とも落ち着かない不気味さを感じました。 雨に降られるときには屋内のありがたさをつくづく感じます。それは建物の中だけではなく、テントの場合でもそうなのです。雨に降られて歩く山は、黙々と歩き続ける思い出ばかりが目立ちます。勤勉に前進していきますが、それはどこまで行っても、ガス(雲や霧)と水ばかりだからです。止まったら寒いし、見物するものもない。その黙々とした前進の末にテントに入ると、何かとても人間的な暮らしに思えて幸せでした。テントを雨粒がたたく音を聞きながら、でも大丈夫という妙な優越感を感じたりもして、人間の尺度というのは不思議なものです。 そうして朝起きてみるとテントが水没していたりしたこともありました。大雨で水がたまって、夜の間に水たまりができていたのです。枕もとでチャプンチャプン言う音を聞きながら、ああ荷物が重くなるとあきらめの境地に達す。その記憶が特に梅雨の雨の頃によみがえってきます。

 

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