2014年8月のことば
- uemurabunko
- 3月31日
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8月のことばなのに、月の半ばとなってしまいました。京都は雨また雨、登山に行った長野も雨また雨。しかも見たことのないほどの豪雨続き。あたふたとしているうちに、すっかり時期遅れとなってしまい恐縮です。 先月のことばにも書きましたが、本当に、屋内のありがたさを痛感しています。雨で増水する川の流れを見たり、雨が視界いっぱいに降り注ぐ谷の姿を見ていると、自分の存在のひ弱さと保護された空間のぬくもりを想わざるをえないのです。人間が「屋内」に対してどのような思いを込めてきたのか、いろいろと関心が湧きました。 自然の何かを利用したり、布などで屋内を作ることもありますが、堅牢な人工物を作ることは建築の営みです。建築は空間を二分し、内の空間と外の空間を際立たせていきます。ただしそこにもさまざまな考え方があり、厳密に区分して石の壁を築いたり、開閉式の窓や戸などで区分を移動させたり、あるいはあえて入れ子状に区分して、内なる外として内庭を作ったりもします。そのような視点から建築を見るおもしろさと、内を作ったときの誰かの喜びとを、雨に次ぐ雨の中で考えさせられる昨今です。