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2015年9月のことば

  • 執筆者の写真: uemurabunko
    uemurabunko
  • 4月1日
  • 読了時間: 1分

8月が終わり、雨の京都は秋に向かいつつある感じです。とはいえ、油断していると再びまた、どうしたらいいのかわからないほどの暑さがまた戻ってくるかもしれません。


 ばたばたと過ぎて行った夏でしたが、大文字の送り火を見た瞬間だけは、なんとなく静止画のように記憶に留まっています。賀茂川沿いに大勢の人たちがあつまり、じっと山を見て、黒々とした中に赤い火がともると歓声が上がる。毎年の行事ながら、心待ちにしてしまいます。


 これだけ大規模にお精霊送りをしなければならないのも、京都の歴史のせいなのでしょうが、生きている人間が多数、今も引き寄せられてくることに興味を感じます。そして、その中の一人は私、ということになります。帰っていくご先祖さんを見送る火なのか、きちんと帰ってもらうための火なのか。このようなことを考えていると、民俗学者の折口信夫の「まれびと」論を思い出します。客人が異界から来訪し、そして帰って行く。今年度はずっと、折口さんの思想を追いかけていく予定です。

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