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2020年4月のことば

  • 執筆者の写真: uemurabunko
    uemurabunko
  • 5月2日
  • 読了時間: 2分

長い冬が終わり、桜の美しい季節がやってきましたね。かめいしです。3月は日本でも感染拡大するコロナのせいで予定がずいぶんと狂いました。まだまだ怖ろしいウイルス、、4月も先行き不透明な状況です。

 さて、様々な自粛が求められる今、家で退屈している方も多いことでしょう。私もその例外ではありません。コロナがおさまったら、どこか遠くへ旅行に行きたい、そんな事ばかり考えながら、これまでの旅行の写真を見返しています。すると、面白いことに気が付きました。私は海が好きでして、日本海、瀬戸内海、太平洋と海の写真をみておりますと、どうもそれぞれが違った顔、もっというなれば性格を持っている気がしてならないのです。具体的に言うと、日本海は漆黒の意志、悲しく冷たく忍耐強い。瀬戸内海はのんびり屋、人びとに安心と恵みを与えてくれる存在。包容力はありますが、どうもちっぽけな印象も受ける。太平洋は野心家。一見頼もしい存在ではありますが、時折見え隠れするその凶暴性は、友でさえも犠牲にするのではないか、という懐疑の念を抱かせ、近づきがたいものを感じます。

 人間と同じように、どの海にも一長一短がある。現代において、海に感情があるとは誰も思わないでしょう。けれど、もし、地球の様々な海がそれぞれ自我をもち、互いにぶつかったりうねったりしながら彼らの個性を発揮しているとしたら、どんなに面白いでしょうか。少なくとも私は、そうあってほしいな、という願望ではありますが、そうした考えの持ち主です。どんな海にも、その海なりの個性、性格、顔がある。私は、もしかなうのであれば、世界中の海たちを訪ね、会話してみたいなとおもっています。もちろん、コロナが収束してからの話ですが。

 こうして手を動かしている内に、はやく外に出たい、あそびたいという気持ちが高まってきましたので、今回はこの辺にしておきます。旅行の醍醐味は、こうして後から振り返って楽しむことなのかもしれませんね。

 

 大海に 島もあらなくに 海原の

       たゆたふ波に 立てる白雲

        

       (万葉集 巻7より 伊勢の従駕)

 

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