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植村文庫 UEMURABUNKO


2008年1月のことば
新年明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。 昨年は会社ができたり本を出したり、いろいろと動きのある一年でした。今年は、それぞれの可能性を広げていく一年にしたいと願っています。それにしましても、動きやすい世の中になりました。昔であれば会社を作るのは...
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2007年12月のことば
「名づけ」について考えてみます。「名は体をあらわす」と言いますように、名前はとても大切なもの、大切にしたいものです。もちろん、何かがあるから名をつけるわけですが、しかし逆に、名をつけることによって、何かが生まれるようにも感じます。名をつけると、新しい世界への入口が切り開かれ...
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2007年11月のことば
朝夕の冷え込みを感じる季節になってきました。この季節になりますと、十年ほど前に暮らしていたベルリンを思い出します。あの頃は、まだドイツ統一から日も浅く、旧東ベルリン地区に住んでいましたので、ときどき、旧体制の絶望的な冷たさを肌身に感じる気がしました。殺風景な町並み、銃弾の痕...
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2007年10月のことば
先日、龍笛の演奏を聴く機会がありました。龍笛は、雅楽の演奏に用いられる横笛です。そして雅楽は、古代以来の神聖な音楽で、よく神社の境内に響いていま す。さて、古代の東アジアにおいては、それぞれの人間集団にそれぞれの雅楽があり、それはつまり、独特の音楽を持つ人たちを、独立した人...
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2007年9月のことば
この夏は、昔の京都の哲学者たちの本を読んで過ぎました。東洋とか仏教という言葉が活きているのが、何だか別世界からの声のように響いてきて、落ち着きの悪 さを感じてしまいました。もちろん、今も東洋的なものはありますし、京都に暮らしているだけに、至る所に仏教的なものもあります。しか...
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2007年8月のことば
オリジナリティーとは、何でしょうか?たしか作家の星新一さんが、それは「異質なものの組み合わせ」であると、言っておられたように思います。人類史上、完全に新しいものを発明するのは至難の技ですが、これまであったものを新しく組み合わせることは、まだしも可能です。例えば、「でどべぎゃ...
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2007年7月のことば
今月16日まで、岡崎公園にある京都国立近代美術館で、「舞台芸術の世界――ディアギレフのロシアバレエと舞台デザイン」展が開かれています。先日、植村照がこの展示を見に行きましたので、以下にその感想を引用します。 「ディアギレフは、バレエという形式によって、舞踏と音楽と美術を立...
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2007年6月のことば
西田さんの本を、今も読んでいます。西田さんは昔の京大の哲学の先生で、昭和の戦前期には、「京都学派」と呼 ばれるお弟子さんたちを育てられました。高坂正顕、高山岩男、鈴木成高、三木清、田辺元など、とても水準の高いお弟子さんたちです。ただし、「京都学派」...
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2007年5月のことば
現在、西田幾多郎という昔の哲学者が書いた本を読んでいます。とても人間味のある、面白い哲学者なのですが、 難しくて読みにくいと文章の評判は良くありません。たしかに、専門家でさえも音を上げるような、漢字と飛躍だらけの文章になっています。でも、西田さんの気持ちになって読むと、すら...
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2007年4月のことば
三月に台湾に行ってきました。台北の中心街にタイペイ・アイという劇場があり、子ども連れも気軽に、京劇などを楽しむことができます。ちょうど旧正月でしたので、獅子舞を見せてもらえたり、お祝いのお餅やおもちゃなども配られたりと、心配りの行き届いた公演でした。 京劇の演目は、八仙過海...
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2007年3月のことば
一月に京都南座で、前進座七十五周年記念の特別公演を観て来ました。幸田露伴原作の五重塔です。丁寧に仕上 げられた形式美が心地よく、家内は、クラシック音楽みたいな芳醇さがある、と喜んでいました。役者さんたちの基本的な技術のたしかさが、台詞回しにも場面の流れにも感じられ、行き届い...
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2007年2月のことば
最近、カオスとコスモスについて考えています。人間には、カオス型の人間とコスモス型の人間がいるのではないか、ということについてです。 さて、カオスは混沌とも訳され、意味や秩序の不明な状態を指しています。不明であるのは否定的な印象を与えますが、むしろ、意味や秩序が生み出される...
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2007年1月のことば
新年明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。 さて、お正月には年が改まり、すべての生命が復活して、明るい雰囲気が行き渡ります。せっかく明るい雰囲気なのですから、私には、もっとのんびりした方が、楽しいように思えてなりません。普通のお店がすべて休み...
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2006年12月のことば
「のだめカンタービレ」という漫画が流行しています。テンポが良く笑いが絶えません。そして、とても斬新なものも感じます。それは何かを考えてみま した。 最近、教育社会学者の佐藤八寿子先生の『ミッション・スクール』(中公新書)を読みました。「ミッション・スクール」のイメージの変...
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2006年11月のことば
和辻哲郎の名著『風土』に、中国を論じる一節があります。和辻は、揚子江を旅して、その「単調にして空漠な」風景に驚き、そのような風土に生きる人間の「意志の持続」などの特徴を指摘しました。昭和四年のことです。 これを読んだとき、私は、ロシアのお話を思い出しました。果てのない平原...
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2006年10月のことば
京都文化博物館の「マリア・テレジアとシェーンブルン宮殿」展に行ってきました。狭いスペース(博物館さん、すみません)の中に充実した展示があり、予想よりもはるかに豊かなひとときを過ごすことができました。 ハプスブルク帝国の雰囲気は、マリア・テレジアの豪華さと知性とに、かなり支...
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2006年9月のことば
昨年の今頃は、スロヴェニアという国にいました。人口は200万人で、首都のリュブリアナは30万人弱。ユーゴスラヴィアから独立して十数年です が、すで にEU加盟も実現させたヨーロッパの小国です。トリグラフ山という美しい山の裾野に、豊かな田園風景が広がり、心落ち着く雰囲気を醸し...
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2006年8月のことば
長かった梅雨もようやく終り、一転して、夏らしい空がやって来ました。海や山の季節到来です。ところで、山歩きをしてきて思いますのは、日本の山は 本当 に、宗教遺蹟が多い、ということです。山は巡礼の場所であり、修行の場所であり、祖霊の鎮まり神々の降臨する聖地でした。そしてその山は...
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2006年7月のことば
トーマス・マンの「マリオと魔術師」は、不気味なものに触れたい人におすすめです。魔術師チポラが保養地で興行し、事件が起きた、というだけです。しかし マンの筆にかかると、そこから人間の悪魔的なるものが浮き彫りにされていきます。...
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2006年6月のことば
太宰治は「人間失格」を、こみあげる笑いを噛みしめながら、書き進めたような気がします。次々に繰り出される悪趣味な展開は、これでもかこれでもかとトランプ札を出して、観客を幻惑していく手品師の技です。 しかしまた、笑う太宰を想像すると、その目がとても悲しそうに思えます。「人間失...
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